【Review】第15節 vs.三重ホンダヒート

2026.04.23

チーム一丸で取り組んだ準備を活かし圧倒。アンストラクチャーからのアタックが冴えわたり4位に浮上

レギュラーシーズンは残すところ4試合。4週連続のゲームで順位が決まる最終盤に突入した。リコーブラックラムズ東京(BR東京/8勝6敗/5位)はシーズン中盤より安定感を高め、第8節から6試合にわたりプレーオフ圏内(6位以上)をキープしてきた。しかし、追ってくるライバルたちも状態を上げており、なかなか振りきることができずにいる。今節は背後に迫るチームの1つの三重ホンダヒート(三重H/6勝8敗/8位)との対戦。東京・秩父宮ラグビー場にてビジターゲームとして実施された試合は、今季唯一のナイター開催となった。

離脱していたLOハリソン・フォックス(第3節以来)、NO8リアム・ギル(第10節以来)、FLマクカランブロディ(第11節以来)らが戦列に復帰した今節、首脳陣は厚さを増したFW陣を活かすべく8人のリザーブ枠のうち6人をFWに割いた(通常は5人)。さらにはBKのリザーブにSHを入れないやや思いきった布陣をチョイスした。他国代表歴を持つ実力者であるカテゴリーCの3選手をFWの先発に集め、序盤からフィジカルバトルを挑んでくるであろう、三重Hとの消耗戦に備えたかたちだ。

大観衆とナイターの高揚感の中で試合が始まる。前節のコベルコ神戸スティーラーズ戦では試合の入りにトライを重ねられたが、それを反転させたかのような展開となる。BR東京は前半4分にWTBメイン平が、6分にCTBラメカ・ポイヒピが、どちらもターンオーバーを起点にしたアタックから2トライを挙げる。14分にはPGを決め13点を先取。勢いは止まらず、前半の中盤以降も4つのトライを重ね、39-0と大きなリードを築き試合を折り返す。

後半はプライドを見せ挑んできた三重Hのアタックを堅い守りでしのぎながら、SO中楠一期の精度の高いキックパスや思いきりのいい仕掛けなどで確実に加点。試合の終わりにはSH TJ・ペレナラが一時退出を科されたが、ピッチの14人が冷静に対処し49-5(前半39-0)で勝利。ボーナスポイントを含めた勝ち点5を獲得した。プレーヤーオブザマッチには、この日クラブ100キャップ達成という記念日を迎えたFL松橋周平が選出。またHO大西将史も公式戦及びクラブ50キャップを達成した。

通算成績は9勝6敗、総勝ち点は41となり4位に浮上。5位の東京サントリーサンゴリアスとの勝ち点差は1。6位の東芝ブレイブルーパス東京との勝ち点差は6。7位のトヨタヴェルブリッツとの差は12となっている。

「今シーズンのベストパフォーマンスを見せられたのではないかと思います」(タンバイ・マットソンヘッドコーチ)

「試合のスタートの仕方がすごくよく、誇りに思います」(SHペレナラ)

開始直後より選手たちはしっかりと試合に没入し、個々によい反応をみせた。そこから複数の選手が連動しアタックに転じる動きは、高いレベルでのピクチャーの共有がうかがえた。チャンスでの実行力も素晴らしく、前半は22m内に11回ボールを持って侵入し、7回スコアに成功した。

ターンオーバーも単なる相手のミスではなく、ディフェンスでの効果的なプレッシャーが相手のミスを誘っていた。ゲームデーまでのトレーニングで、三重Hを模倣しアグレッシブに挑み続けたノンメンバーたちとの準備が奏功した。プレシーズンから培ってきたものと適切な準備がかたちとなり、その上でボールのバウンドもBR東京に味方した部分もあったかもしれない。多くのことがうまく回った歓喜の一夜となった。

「過去を無視するんじゃなくて、しっかりリスペクトして。仲間とか、一緒に戦ってきたメンバーの気持ちとか、そういう部分も持って戦いたい」(FL松橋)

「今日は(ノンメンバーが)勝ったね」

試合の2日前の全体練習を終えて、マットソンヘッドコーチは試合に出場するメンバーの「相手役」を務めるノンメンバーたちの仕事を称えた。これまでもノンメンバーたちは試合の準備でハードなプレーを見せてきたが、この日はさらなる熱があった。ブレイクダウンで、モールやスクラムで、メンバー側に強くプレッシャーをかけた。

「月曜日(4日前)の練習は本当にすごく強度が高くて。ノンメンバーのサポートが、チームに大きな影響を与えてくれたかなと感じます。週の中で、相手がどういうふうに来るのかを体感できていたのは大きかったです」(WTBメイン平)

「ノンメンバーのみんなが本当にいいスタンダードで練習をつくってくれて。1週間ずっと、それを相手にやり続けられたので。いい入りができました。フィジカルの部分だったりもホンダライクにしてくれて、イメージがすごくつきやすかった」(FB伊藤耕太郎)

「本当に素晴らしかった。僕らよりもいいトレーニングを見せているんじゃないかなと。チームでは『全員に役割がある』という話をしているのですが、一週間それを体現して、高いレベルを見せてくれました」(CTBラメカ・ポイヒピ)

三重Hがかけてきた猛烈なプレッシャーに対し受けに回らず対抗し、ときにはミスを誘った。そこから即座にアタックに転じてみせるシーンなどに感じられたある種の余裕は、何人かの選手が指摘するように、適切な準備から来ているものだったようだった。今、チームは高いモチベーションが満たされている。所属する誰もが、自分の役割を果たすことに集中している。

TJ・ペレナラはこう言う。

「チームに何かをもたらせるのは、ゲームデーに限らないと考えています。そこに向かっていく月曜日から金曜日までに見せる姿勢などを通じてもたらせるものが一番大きい。ゲームデイは注目されるものですが、僕はそれ以外の日も含めて、毎日しっかりと高いレベルを見せられるように務めています」

試合に表れるものは氷山の一部のようなもの。水面下には何倍もの努力や貢献がある。むしろ、長きにわたるその蓄積があったから、一部を水面上に出せた、という見方をするべきか。

この日の試合後は、クラブ100キャップを達成したFL松橋周平が多くのメディアに囲まれた。笑顔で受け答える松橋に、充実とはまさにこのような瞬間のことを言うのだろうと思わされた。かつて、悔しさをどこにぶつければいいかわからないような敗戦のあと、それを真っ直ぐ受け止め、正しく怒り、厳しい表情で取材に対応してきた松橋を思い出すと感慨深くもある。

「チームとして(目標達成を)成し遂げようとしていて、すごく幸せな気持ちでいます。でも、もちろん過去があっての今。過去を無視するんじゃなくて、しっかりリスペクトして。仲間とか、一緒に戦ってきたメンバーの気持ちとか、そういう部分も持って、自分自身は戦いたいなって」

次節16節は4月26日(日)14:30より、秩父宮ラグビー場で行われるホストゲーム、トヨタヴェルブリッツ(トヨタV/6勝9敗/7位)戦となる。第4節、1月の北九州での対戦では37-29(前半10-29)で勝利。後半に19点差と2枚のイエローカードによる数的不利を跳ね返して勝ちきる劇的なゲームだった。FWの優位、それを最大限に活かすSHペレナラのゲームコントロール、7本を成功させたSO中楠の正確なプレースキックなどが光った。

トヨタVはシーズン中盤から調子を上げ、第14節にはクボタスピアーズ船橋・東京ベイから勝利を挙げプレーオフ戦線に浮上した。今回は前回対戦では不在だったSO松田力也やSHアーロン・スミスらが出場する可能性があるほか、成長著しい若きバックロー陣の存在なども上積み要素となりそうだ。しかし、1月の対戦時から課題をひとつずつ解消し6度の勝利を重ねてきたBR東京も、自分たちを強く信じ戦えるチームに成長した。自信を手にする者同士が全てを出し尽くす最高の戦いが期待できそうだ。

なお、BR東京はこのゲームに勝利すれば、7位のトヨタVと8位の三重Hとの勝ち点差が残り2試合で逆転できないところまで広がることから、プレーオフ出場が決定する。チーム史に刻まれるであろう念願成就の瞬間を、スタジアムで目撃しよう。

監督・選手コメント

タンバイ・マットソンヘッドコーチ

とにかく(勝ち点)5ポイントを獲得できたということですね。自分たちにとって、また目標のために大切な5点を掴みとってくれたチームを本当に誇りに思います。今シーズンのベストパフォーマンスを見せられたのではないでしょうか。試合はたくさんありどれも大切ですが、誰かのために戦う、より重要なゲームというものもあると思っています。今日、クラブにとって大切なメンバーの大切な日に、選手たちが見せてくれたプレー、パフォーマンスをすごく誇りに思います。

SH TJ・ペレナラキャプテン

5ポイントを獲れてすごくよかったです。順位表的にも素晴らしいこと。試合のスタートの仕方もすごくよく、誇りに思います。ここ数試合はあまりいいスタートがきれていなくて、ビハインドな状況からスタートすることも多かったのですが、いいスタートができました。今日はスコアボードや順位よりも、クラブレジェンドの1人であるFL松橋(周平)さんが100ゲームを迎えたことですね。日本では100ゲームを達成するのは難しいことだと思います。大学ラグビーを経ている選手が多く、24、5歳までプロフェッショナルゲームがスタートしない人も多いと思うので。だからクラブのために100ゲームに出場したというのはすごいこと。彼のために、このような素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたチームのことも、すごく誇りに思います。

質疑応答

——松橋選手はどういうところが優れているか?

TJ・ペレナラ:グラウンド上では、皆さんが観ている通りかと思います。フィジカリティやブレイクダウンでのプレーで相手を苦しめ、ハードキャリーもします。身体がすごく大きな7番ではないですが、ヘビーなプレーができる。タックルを決めるのは難しいですし、いいタックルをします。ブレイクダウンでボールをスローダウンさせるのもうまい。

でもクラブにとって一番大きいのは、彼のリーダーシップだと思います。ゲームデーは僕がキャプテンを務めさせてもらっていてそこに誇りを持っていますが、マツこそがこのチームのキャプテンであるとも思っています。長くチームに在籍している彼に、どのように行動し、どうリードすべきかを相談することは多いです。自分は日本人ではありませんし日本で育ったわけでもありませんから、90%のメンバーは日本人で、同じ環境で育っていない選手たちをリードするのはなかなか難しい面もあります。ですので、彼がロッカールームのような皆さんからは見えないところで見せてくれているリーダーシップというのは、大きな価値のあるものになっています。

—— その髪型はがんと闘うキャメロン・スアフォア選手への連帯を意識したものか

TJ・ペレナラ:イエスでありノーかな。僕が(この髪型を)気に入っているというのもひとつの理由なので。でも、今すごく大変な時期を迎えている故郷の仲間を応援したいというのもあります。自分はブルーズのメンバーではないですけど、マオリ・オールブラックスで一緒にプレーしているので、サポートしているという思いを伝えられたらと。※スアフォア選手とは2022年6月のアイルランド代表戦でともにプレー

——後半、10分間出られない時間帯もあったが試合をどのように観ていたか

TJ・ペレナラ:(中楠)一期の9番、すごくよかったと思います。皆さんが同じ意見かはわからないですけどランもキックもよかったです。もし彼が9番に転向したいというなら、僕も危ないかなと。終わってから話したらとても楽しかったと言っていました。今日はベンチに9番がいない中、9番として試合をコントロールする彼を観ていて、ラグビープレーヤーとして優れていて、ラグビーをよく理解しているなと。ミッドフィルダーとしての自分の役割をしっかりわかっていますよね。彼なら多分どのポジションでもできると思います。僕もサイドラインに座っていたくはなかったですが、そういうこともあるのがゲームなので。

——イエローカードの累積が次戦の出場に影響する可能性があるが

TJ・ペレナラ:僕がチームに何かをもたらせるのは、ゲームデーに限らないと考えています。そこに向かっていく月曜日から金曜日までに見せる姿勢などを通じてもたらせるものが一番大きい。ゲームデイは注目されるものですが、僕はそれ以外の日も含めて、毎日しっかりと高いレベルを見せられるように務めています。それは自分が最高の選手になりたいからやっていることなんですが、そういう僕の習慣を通じて、周りの人にいい影響を与えられるとも感じています。だからもし来週試合に出られなくなったとしても、月曜日から金曜日までの僕の役割は変わりません。そこでプロフェッショナルとしてベストな姿勢を見せて、チームにいい影響を与えていくだけだと思っています。

※4月23日(木) リーグワンより「追加処分なし(出場停止なし)」のアナウンス

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26 ディビジョン1 三重ホンダヒートvsリコーブラックラムズ東京戦におけるリコーブラックラムズ東京 TJ・ペレナラ選手のプレーに対する追加的処分について

 

試合ハイライト

 

■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、選手インタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。

■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=447

 

文:秋山 健一郎

写真:川本 聖哉、ブラックラムズ東京

PAGE TOP