【Review】第17節 vs.クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
2026.05.08
悲願のプレーオフ進出決定翌日。福島でS東京ベイに挑むもコリジョンで劣勢。苦しいゲームに
リーグワンは最終盤第17節へ。前日の他会場での試合結果で、リーグワンではチームとして初のプレーオフトーナメント進出が決まったリコーブラックラムズ東京(BR東京/9勝7敗/4位)は、福島・ハワイアンズスタジアムいわきでクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ/13勝3敗/3位)との今季2度目のゲームに挑んだ。前半9分にWTBメイン平のPGで先制に成功したものの、12分にイエローカードをもらうと主導権はS東京ベイに。数的不利の時間帯から立て続けに5トライを許し、3-33と大きくリードを広げられて前半を折り返した。
後半に入ってすぐ、FBアイザック・ルーカスのトライ(6分)で反撃したが、その後もS東京ベイの勢いを止めることはできず、さらに3トライを許し突き放され8-52でノーサイド。通算成績は9勝8敗となり、総勝ち点は41のまま。最終節を前に順位を1つ落とし5位となった。
ここまでケガなどの影響もあり出場機会が巡ってきていなかったHOニック・スーチョンが先発。PR三竹康太もリザーブに入り、後半に出場し初キャップを掴んだ。リーグワンの規定でプレーオフへの出場にはリーグ戦での1試合以上の出場が求められることもあり、対応が図られた面もあったようだ。そこにカテゴリー枠に合わせた調整、負傷者の出たポジションのやりくりやプレータイムの調整などが発生し、これまでから大きくメンバーを入れ替えての一戦となった。
「自分たちのコリジョン(衝突)というのは最初の1分からよくなかったです。ラグビーはコリジョンのスポーツなので、コリジョンをしっかりやれないと戦えない」(タンバイ・マットソンヘッドコーチ)
「僕らも(ポイントは)フィジカルバトルだとわかっていたんですけど、そこを示すこともできなかった」(FL松橋周平)
前半のペナルティは10を数え、それが立て続けにスコアに繋がった。ペナルティの多くはフィジカルが影響する場面で後手に回ったことが発端となっていた。ただ反則を3つに留めた後半は、一定の修正が図れたようにも映った。
「スコアは気にせず、目の前の仕事をやろうって話をした。そこは少しだけできたのかなとは」(PR笹川大五)
14フェーズを重ねて奪った6分のトライに象徴される我慢強いアタックは、おそらくやろうとしていたものの1つではあるだろう。S東京ベイのディフェンスは80分を通して堅く狙い通りにゲインできたケースは少なく、結果的に1トライに終わったこともあって手応えを語る声は限られていたが、後半に見せたエフォートには選手たちの意地、これまでのゲームで見せてきたものとの一貫性はうかがえた。ここを足がかりに修正し、最終節の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)戦でカムバックできるか。
マットソンHCは、同じ東京をホームとするライバルチームとの対戦であることや4位を懸けたゲームであることの重さを認めつつも、今こそシンプルに、いいプレーをすることに集中することが大事だと語る。
「プレーオフに行けるか行けないか、そこが気になってしまっていたのですが、そこに惑わされるんじゃなくて、毎週自分たちのチャンスを掴み続ける。いい準備をし続ける。そこにフォーカスしなければいけない」
昨年12月からの半年にわたる激戦はいったんの節目を迎える。多くの観客動員が予想される会場での、ライバルとの対戦でのフィナーレ。目の前のワンプレーに最善を尽くす80分にできるかがカギとなる。
なお、このゲームでFLマクカランブロディがクラブ50キャップを達成。後半から登場し、この日もビッグタックルでチームのピンチを救った。ワークレート、的確な判断力を強みとし、ここ一番のディフェンスで高い精度を見せるまさに替えの効かない存在。まだまだキャップを重ねていってくれるはずだ。
「僕らはポジティブなことをスタックしていかなきゃいけない」(FL松橋)
試合前々日。
朝から強く降った雨は、練習が終わる頃に上がった。ずぶ濡れになって引き上げてきた選手たちは、どこかハイだった。今季3度目の先発メンバーに名を連ねたフィリックス・カラプが、水の浮いた芝生にダイブする。立ち上がり、もう一回。試合が楽しみで楽しみでしょうがないといった様子だ。
最後まで自主練習を続けていたSO伊藤耕太郎は今季初先発。「相手のでかいFWを動かすために、ワイドアタックをクオリティ高くやっていけたら。今シーズンはずっと(SH髙橋)敏也さんとやってきたんで、コンビネーションは大丈夫」と自信を見せた。
試合後。
後半に出場し、初キャップを手にしたHOスーチョンがにこやかに話す。
「結果は残念だったけど、誇りには思っています。シーズン序盤はケガもあって乗れませんでしたが、その中でもこうやってファーストキャップを飾れてよかった。日本のラグビーは僕が経験してきたものとは違うもので、アジャストしないといけない部分はありました。外国人選手には知っている選手がいたし、日本人選手のみんなもサポートしてくれてトランジション(移行)はうまくいったんですけど、間違いなくチャレンジではありましたね。特にスクラムね。低い! でも強いんだ。今日は苦しかったよ、肺がね(笑)」
ラグビー選手が、ラグビーの試合に出る。それでしか整わないものがある。結果がともなっていればなおよいのは当然だが、飢えていた面々がプレータイムとともに得たものは多くあったはずだ。
「僕らはポジティブなことをスタックしていかなきゃいけない」(FL松橋)
次節の東京SG戦、その先のプレーオフでは、試合を通じて主導権を握れるような試合にはならないだろう。試合で見せられるポジティブなプレーは限られた回数となるのは間違いない。であれば、それをいかに積み重ねてスコアまで持っていけるか。スタッキングが数度途切れただけで、瞬く間に勝利が遠のく。そんな戦いになるはずだ。
想像ながら、おそらくはハーフタイムに少々の発破をかけたであろうマットソンHCは「選手たちとの約束や選手の責任、選手たちがやろうとしていたことをリマインドするのはヘッドコーチとしての仕事」と話した。指揮官が求めるように、やろうとしてきたこと、やるべきことにもう一度執着できるか。チームとして再びモメンタムをつくり出せるかはそこに懸かっている。
レギュラーシーズン最後のゲーム、第18節は5月10日(日)14:30から東京・秩父宮ラグビー場で行われる東京サントリーサンゴリアス(東京SG/8勝9敗/4位))戦。ビジターゲームとしての開催となる。開幕戦では後半20分までリードを守ったが、終盤にひっくり返され15-29(前半8-7)で敗れている。現在はともにプレーオフ進出を決めており、このゲームに勝った方が4位でレギュラーシーズンを終える。リーグ戦を「東京」のチームとして最上位で終えられるかを争うゲームでもある。
「今が1年で最もエキサイティング。1つの勝ち、1つの負けが結果を大きく左右しますから」(マットソンHC)
指揮官もクライマックスを前に気合い十分だ。期待を背負い、プレッシャーを感じ、多くの人々の前でラグビーができること。その感謝と誇りを胸に。BR東京は自分たちの歴史を変える戦いに突入する。
監督・選手コメント
タンバイ・マットソンヘッドコーチ
スコアボードはひどいものでした。スコアボード通りのパフォーマンスだったと思います。クボタさん(S東京ベイ)のようなトップチームと戦うとき、3%でも自分たちらしさを欠いていると戦うのがすごく難しくなる。ほとんどのエリアで、いろいろな要素で負けていたかなと。残念ながら、自分たちのコリジョンというのは最初の1分からよくなかったです。ラグビーはコリジョンのスポーツなので、コリジョンをしっかりやれないと戦えない。本当に残念なパフォーマンスでした。サントリー(東京SG)さんと戦うまで7日間ありますので、そこにフォーカスして。ほかにもたくさんやることがあると思いますが、向かっていきたいと思います。
また今日は(FLマクカラン)ブロディが今日50試合目でした。50キャップ。クラブにとっても、彼にとっても、すごく大事なマイルストーンだったと思います。その点には触れておきたいと思います。ありがとうございました。
FL 松橋周平ゲームキャプテン
今日はありがとうございました。福島の地でのホストゲームに多くの方々に来ていただいたこと、いろいろなサポートしてくださった方々に感謝します。試合はヘッドコーチが言った通りひどかったので、言い訳はできません。僕らも(ポイントは)フィジカルバトルだとわかっていたんですけど、そこを示すこともできなかったですし、自分たちより順位で上の相手に対して精度だったりディシプリンだったり、自分の仕事する意識っていう部分が欠けてしまうとネガティブなことが続いてしまう。僕らはポジティブなことをスタックしていかなきゃいけないんですけど、相手のプレッシャーを受けたり、自分の仕事ができなかったり、フィジカルにいけなかったりすると、こういう試合になってしまう。いい学びだったと思っています。来週、修正するチャンスがあるので、自分たちのパフォーマンスをもっと示して、精度を上げて、どんな相手にも自分たちのラグビーを一貫してできるように。リーダーとして引っ張っていきたいと思います。
質疑応答
——ハーフ団を今シーズン初めて入れ替えた。狙いと彼ら2人の出来について
マットソンHC:よくプレーしてくれたと思います。今日はHOニック・スーチョンがプレーオフに出場する資格を得るための対応などがありました。SH TJ(・ペレナラ)はレジリエンスを見せて毎試合出てくれていますが、ナンバー2の(SH高橋)敏也が長い時間のプレーができていないということもあり、その機会をつくることも大事だと考えました。よくやってくれたと思います。(SO伊藤)耕太郎もそういう立場だったので、同じですね。
——どのようにゲームをコントロールしようとしていたか
松橋:プランとしては風上だったので、しっかりキックを蹴って、相手がランしてくるのに対して自分たちのディフェンスをするというのと、自分たちがボール持ったときは正しいエリアでプレーするというのがあったんですけど、風上だったんですけど自陣にいた感覚があって。ペナルティが続いて自陣になってしまったり。SHも欠けてしまい、なかなか自分たちのラグビーをやるのは難しくなってしまった。
——試合前にプレーオフ進出が決定した
マットソンHC:クラブとして初めてプレーオフに進出するということで、とても誇りに思っています。ただ、プレーオフでいいプレーがしたいというのがもちろんあるので。今日、トップチームを相手にいいプレーをするには、改善しないといけないことがたくさんあると証明されました。自分たちにとっては大きなチャレンジだと思います。来週も同じ東京のチームとの大事なゲームです。サントリー(東京SG)さんは大事なライバルだと思っているので。4位になるチャンスもあります。
ただ、そういうことより重要なのは、いいプレーを見せるチャンスだということ。最近、いいプレーができていませんが、それがちゃんとできるかがすごく重要になってくるかなと。プレーオフにいけるかいけないか、そこが気になってしまっていたのですが、そこに惑わされるんじゃなくて、毎週自分たちのチャンスを掴み続ける。いい準備をし続ける。そこにフォーカスしなければいけない。その点で先週、今週のパフォーマンスというのは残念だったかなと思います。16試合くらい一貫性を見せてきただけに。そういう意味でも、サントリー戦はすごく大事だと思ってます。
——疲れが溜まっている時期かと思うが、準備をしていて違和感などは
マットソンHC:みんな同じだと思うので。ここ3試合ぐらいは怪我人もすごく増えていて、来週のセレクションにも影響はあるのかなと思っています。まあ、それもどこでも同じですよね。でも、今が1年で最もエキサイティング。1つの勝ち、1つの負けが結果を大きく左右しますから。
——後半の入りに少しチームが勢いを取り戻した。ハーフタイムには厳しい言葉も?
マットソンHC:そんなことはないかな。普通? そのもう1個上ぐらい。選手たちとの約束や選手の責任、選手たちがやろうとしていたことをリマインドするのはヘッドコーチとしての仕事。それをしただけです。(松橋に)大丈夫?
松橋:そうです。
試合ハイライト
■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、選手インタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。
■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=460
文:秋山 健一郎
写真:川本 聖哉、ブラックラムズ東京