【Review】第18節 vs.東京サントリーサンゴリアス

2026.05.15

プレーオフ前哨戦。相手BKを走らせリードを許す。後半に流れを掴みかけたが、攻めきれず

リーグワンはレギュラーシーズンでは最後のゲームとなる第18節へ。リコーブラックラムズ東京(BR東京/9勝8敗/5位)は前日の他会場の試合結果で5位以上が確定。同時にこの日の対戦相手の東京サントリーサンゴリアス(東京SG/8勝9敗/4位)とは、プレーオフトーナメントの準々決勝で再び戦うことが決定していた。「4位決定戦」と「プレーオフに向けた前哨戦」という意味を持つゲームとなった。

メンバーでは、開幕直前にアクシデントに見舞われケガと戦ってきたCTB礒田凌平が、先発として今季初出場。前節に初キャップを掴んだHOニック・スーチョンも初先発を果たした。PRのリザーブには開幕節以来のメンバー入りとなった大山祥平が名を連ねた。またPRで先発した笹川大五はクラブ50キャップの節目を迎えた。

BR東京は試合開始直後のピンチをしのぎPGで先制。しかしラインアウトからディフェンスのギャップを的確に突くアタックで2トライ(12分、18分)を許しリードを奪われると、20分にもやや自陣側に流れたキックをキャッチされたのを起点にトライされ3-19とされた。しかし27分にNO8サミュエラ・ワカヴァカの強いキャリーで反則を誘うと、ラインアウトから攻めLO山本嶺二郎が獲りきり10-19。前半の終盤はイエローカードで1人少ない時間となったがうまくしのいでハーフタイムへ。

後半は4分、WTB西川大輔がエッジを前進し攻め込むと、SO中楠一期のキックパスをCTB礒田凌平が飛びついて残し、内側のFLリアム・ギルに繋ぐ鮮やかなトライで15-19と迫る。しかし東京SGはすぐさまPGで3点を返すと(9分)、その後の約5分にわたるBR東京のアタックをしのぎ、逆にワンチャンスを活かし今季での引退を発表しているSH流大のトライで15-29と突き放す(17分)。

BR東京はその後も敵陣に入りゴールを脅かしたが、決定機はつくれず。36分にこぼれ球を拾ったLOハリソン・フォックスが50m強を走りきって1トライを返し10点差に迫ったが、最後にディフェンスのギャップを突かれてトライを許し22-39で敗れた。

BR東京はレギュラーシーズンを9勝9敗、勝ち点41の単独5位で終了。これはリーグワンでの5シーズン(2022年〜26年、またトップリーグ時代の18シーズン(2003年〜2021年)の最終順位を含めても最高順位となる。

※リーグワンの年間最終順位はプレーオフトーナメント後に決定する

(参考)リーグワン2025-26 ディビジョン1 リーグ戦5位のお知らせ

「強いバックスリーにプレッシャーをかけることが大事だったが、できなかった」(CTB礒田凌平)

前半20分までに3つのトライを奪われ16点差を追いかける展開となった。そこから踏ん張り、点差を詰め、勢いに乗っていこうというところでイエローカードやPGでの相手の加点などがあり、迫りきれなかった。15-22となった後半10分くらいからは攻勢に転じプレッシャーをかけたが、ここでの攻防と直後の東京SGのトライが試合の流れに大きく影響した。

「FWとしてはやっぱりアタックでフィジカルにいきたかった。もう少し(アタックラインの)深さを取れていたらゲインできたかなとも思ったけど、少し浅くて、そこにサントリーがディフェンスをすごく上げてきてプレッシャーになった。そういう細かい部分」(NO8サミュエラ・ワカヴァカ)

「フィジカルにいこうというテーマについては、できている部分もあった。一気に点数に繋げられるみたいなところはやっぱりあって、そこはエフォートがまだ足りていないのだと思う。本当に細かいところですね。チームは勝ってきたので、やってきていることは間違いないですし、そこ(やってきたことを)どれだけ突き詰められるか。あと2週間、チーム全体でやっていこうと思います」(PR大山祥平)

「(ディフェンスでの課題として)多かったのが、やっぱりアンストラクチャーのところ。ラインアウトを相手に獲られて、そこからゲインされたりとか、あとは自分たちのキックに対しチェイスがあんまりいけていなくて、ガタガタで、そこでラインブレイクされる場面もあった。相手はバックスリーに強いメンバーが揃っていて、そこにしっかりプレッシャーをかけることが大事だったんですけど、できなかったっていうところが一番ですね」(CTB礒田凌平)

アタックに際しての細部。互いにポジショニングが崩れた場面からの攻防での必死にプレーする姿勢やディフェンス。出場した選手たちの言葉は課題をシャープに指摘するものが多かった。試合の中で修正できなかったことへの悔しさをにじませつつも、自分たちがすべきことの整理はある程度ついているようにも見えた。

「今日のパフォーマンスではクォーターファイナルで勝てるわけがないので。ただ、TJが言うように学びはありました。今日試したこともありましたがうまくいかなかった。時間があるのでもう一度そこでアジャストしていけたら」

タンバイ・マットソンヘッドコーチはパフォーマンスの不十分を指摘すると同時に、調整を加えた要素のさらなるブラッシュアップの必要性を述べる。なすべきことの多くは細部の磨き上げということになるのだろう。

そして最後は気持ちか。インタビューに全て日本語で答えてみせたNO8ワカヴァカは言う。

「最後のトライのあと(後半40分)のハドルで、『この試合を絶対モチベーションにしないといけない』とみんなで話しました」

1年半前に東京SGから挙げた20年ぶりの勝利は、この体制での初勝利でもあり、新たなBR東京の船出を印象づけた。歓喜の中で感じた何かが始まる予感は、これから挑む舞台での戦いにしっかり結びついていた。もちろん、ただ出場するだけで満足するわけにはいかない。「プレーオフの常連になるためには絶対に倒さなければならない相手」(マットソンHC)の壁を超え、さらに高い場所から見えるものを確かめにいくときが来ている。

5月23日(土)14:30から東京・秩父宮ラグビー場で開催されるプレーオフトーナメント準々決勝。相まみえる東京SGとは、昨季はプレーオフの最後の一席を争う関係だったが、今季はともに一歩前進しプレーオフの舞台で激突する。最終節の対戦で互いがどんな相手であるかを体感した直後の、また十分な分析を経て互いを深く理解した上で戦うゲームは、これまでとは違ったものになるのは間違いない。

ファイナルラグビーの経験では一日の長がある東京SGに対しBR東京ができるのは、この1試合に全てを捧げ最高の準備をして立ち向かうことだけだろう。これまで支えられてきた全ての人に、活力と感動を届けるための最高の舞台。ようやくたどりついたこの場所で、存在意義を証明する戦いを見せたい。

「このチームを強くして、それで引退したかった。少し貢献できたかな」(LO/FLロトアヘアポヒヴァ大和)

試合前日の5月9日(土)には砧グラウンドにて練習見学とファンイベントを実施。ファンイベントは多くの催しが選手による企画立案されたもので、当日も選手たちが進行を担当。直前まで選手たちがトレーニングしていたグラウンドで、力を合わせ身体を動かすゲームなどは大きな盛り上がりを見せた。試合翌日の11日(月)には、サントリー府中スポーツセンターで東京SGとトレーニングマッチを実施。プレーオフ出場に向け調整を進める選手のほか、現役引退を表明したロトアヘアポヒヴァ大和や新人のPR松原結生らも出場した。

「個々で相手には絶対負けないようにしたかった。今日のフォーカスポイントはディフェンス。今シーズンは試合に出られなかったんですけど、バチバチにタックルにいく姿を体現したいなと思ってやりました。これがプレーオフに繋がれば嬉しい」(プレーヤーオブザマッチに選ばれたSO堀米航平)

ポヒヴァ大和は6番をつけてピッチへ。当初は20分の出場予定だったというが後半までプレー。相手のキャリーを確実に止め、その場で岩のように動かず前進を阻むディフェンスや、ブレイクダウンでの激しい仕掛けでらしさを発揮。ピッチを退く際にはマットソンHCがタッチラインで待ち受け、長年の貢献を称えた。採用担当であり、デビュー期の指揮官でもあった神鳥裕之元監督も見守った。

「とりあえず楽しもうと。いつも通り自分の強みを出そうっていう気持ちでした。最後だという気持ちは全くなかったんだけど、交替したときに『これが最後』っていう気持ちが自分の中に湧いてきて、ちょっと涙が出ました」

ハドルでは「入団したときから、このチームで引退するまでやりたいと思っていた」と明かした。

「(長く在籍して)このチームを強くして、それで引退したかった。自分の中では、それに少し貢献できたかなって思いはあります」

2014年からの長きにわたる挑戦に幕を下ろし、ポヒヴァ大和は次のステージに向かう。

「まだ何も決まっていないけど、まずは身体を休めて。それから考えたいと思います」

監督・選手コメント

タンバイ・マットソンヘッドコーチ

今年最後のリーグ戦でした。もちろん、試合には勝ちたい、いいプレーを見せたい思って臨んでいますが、今日はすごく残念な結果になってしまいました。サントリー(東京SG)さんの方が今日は色々なエリアで一枚上手だったかなと。ただ、また13日後にプレーするチャンスがあります。スポーツの13日というのは長いので、また対戦できるのを楽しみにしています。

今日のレフリーは滑川剛人さんで、これがラストゲームかどうかはわからないのですが、直接感謝を伝えることができてよかったなと思います。日本でベストレフリーの1人だと思うので、彼が引退してしまうのをさびしく思います。

SH TJ・ペレナラキャプテン

まずはサントリーさんにおめでとうございますと伝えたいです。今日は、相手の実力が上回っていて、自分たちはプレッシャーを感じました。彼らはプレッシャーをかけつつチャンスが回ってきたらそれを生かしきることをやり続けたと思います。ですが、クォーターファイナルで当たるまでまだ13日間あります。今日を無視するわけではなく、自分たちもいいパフォーマンスを見せたかったですし、ホームで試合をしたいと思っていましたが、それも達成できなかったのでそこは残念です。でも学びも多かったと思います。13日後にもう一度戦うことができるので、それに対してはすごくエキサイティングな気持ちを持っています。彼らもそうだと思います。そしてどちらのファンも楽しみにしている試合だと思います。また13日後に会いましょう。

質疑応答

——2週間後、準々決勝で試合があることが決まっている状態で戦うのは難しいと思うが、どういうふうにチームを持っていこうと思っているか?

マットソンHC: 自分たちとしては、もうちょっといいパフォーマンスを見せたいというところがありました。今日のパフォーマンスではクォーターファイナルで勝てるわけがないので。ただ、TJが言うように学びはありました。今日試したこともありましたがうまくいかなかった。時間があるのでもう一度そこでアジャストしていけたら。明日はまたサントリーさんのBチームと試合をしますので、3回対戦する流れになっています。東京のライバル同士の戦いです。現時点で東京のベストチームはサントリーさんです。自分たちが成功を収め、プレーオフの常連になるためには絶対に倒さなければならない相手。素晴らしいチャレンジだと思います。

——流(大)選手が引退セレモニーをしました。同じ9番としてどのように見ていたか。そして次の対戦に向けて何を警戒したいか?

TJ・ペレナラ: 流選手は本当にいいファシリテーター(進行役)だと思っています。ディフェンスのかたちを見て、仲間をいい位置に入れたりするのがうまい。彼の大きな強みのひとつだと思っています。キックゲームも非常に強いです。昨年の対戦(第17節)で勝った方がプレーオフにいくという試合で、彼のキックゲームにやられてしまった。2週間後にまた当たることを考えて少し抑えていた部分もあるかもしれませんが、それは間違いない強み。今シーズンまだ試合は残っていますが、レギュラーシーズンは最後ということで。彼はサントリーのレジェンドであり、日本ラグビーのレジェンド。そしてラグビー界自体のレジェンドでもあると思います。彼には称賛の念しかありません。おめでとうございます。

——チームは初めてプレーオフを経験する選手も多いと思うが、準備段階でどういうところを意識させていくか?

TJ・ペレナラ: 正式には初めてのプレーオフゲームになります。ですが、昨年の「勝てばプレーオフ」というような、プレーオフに等しいプレッシャーのかかる試合の経験もありますし、今日もトップ4を目指してやっています。勝つか負けるかという試合に向けたビルドアップの過程に学びがありました。僕の経験では、プレーオフのような大事な試合に向けて準備する際、最も大事なのは、まず自分がいい準備をしていいプレーをすることです。そうすると周りの人をリードしやすくなる。自信に繋がるからです。

試合ハイライト

 

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■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=450

文:秋山 健一郎

写真:川本 聖哉、ブラックラムズ東京

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